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高遠・木曽路 スケッチ旅行記

高遠・木曽路のスケッチ旅行
五十嵐 敏子

「 木曽路はすべて山の中・・・」 新緑の木々に彩られた山深い谷あいの宿場町をめぐりスケッチする旅に「新宿を描く会」入会後、はじめて参加した。
 桜の高遠はシーズンを過ぎて静かなたたずまいの町であった。小雨の中描きあげた絵を交流会でみせあったり、和やかな夕べであった。高低差のある土地で、蔵や勾配の急な坂道の風景などを散歩しながら見つけ心魅られる町でした。
 二日目は中山道の宿場町をめぐったが、電柱が無く広い空の下に細かい格子戸や、複雑な屋根、木をたくさん使った古い家々は、往時の面影を多く残し、日本文化の素晴らしさに誇らしさを感じた。奈良井宿・妻籠宿・馬籠宿でスケッチしたが、時間がたりなく、着色までいかない作品ばかりだった。島崎藤村の生家のある馬籠宿は観光客があふれていた。石畳の急な坂道沿いに、民宿やみやげもの屋がぎっしり並んでいる様子は、やはり絵になるところである。私が一番気に入ったのは奈良井宿である。静かに最も江戸の情緒を残している宿場町だと思った。奈良井独
特の出梁造りや千本格子など、町並
みは美しいが、スケッチするには私にはむずかしすぎた。是非もう一度描きにきたいと思った。
 日本人が体に持っている美意識を満足させるたくさんのものを見、夢中になってスケッチしている自分がうれしく、しみじみ「幸せ」を感じた。夜は温泉につかり、昼は絵になる場所を見つけて描き、上手に描けなくとも充実した時間を持てたことを喜んでいます。たくさんの「楽しい」を与えていただいた皆さんに感謝するばかりです。ありがとうございました。


  追憶の旅路
石田 三男

 "昔の夢が懐かしく    訪ね来たりし信濃路の   山よ小川よまた森よ  姿 昔しのまゝなれど  何故に彼の君影も無し"
 伊藤久男の美声が、いまも耳元に残る、軽快なリズムにのり、哀愁をおびた懐かしい「高原の旅愁」は私の大好きな歌である。
 「新宿の街を描く会」で、高遠・木曽路・スケッチ旅行三日間の案内を「さいか屋」さんより頂いたとき、私の心は決まっていた。八十路も近くになって、追憶の旅路に出られるのは、恐らくこれが最後になるでしょう。
   〇 高 遠
 高遠に来たのは今回で三回目です、前回はいずれも四月半ばの桜の満開どきだった、高遠の町、直前でバスが渋滞でイライラしたことを覚えている。今回は桜の季節も終わって順調に高遠に入ることができたが、生憎の小雨で、スケッチポイントを見付けるのに苦労した。駄菓子屋の軒下を拝借して六〜七人で目前の弁天岩を描いたが、モチーフとしていまひとつ、満足は得られないまゝ鉛筆を走らせた。駄菓子屋のおばさんにお茶・お煎餅のご馳走までして頂いたので、帰り際、全員多少のお土産(稗・粟)を買って辞去した。
   〇 木 曽 路
終戦の翌年の六月、友と二人で名古屋駅より中央本線で中津川まで乗車、馬籠・妻籠と旧中山道を南木曾駅まで散策したことが昨日の様に思い出された。あれから五十七年の歳月が過ぎ去ったのである。島崎藤村の「夜明け前」の書き出しに「木曽路はすべて山の中である」名文そのまゝの感をうけたものだったが、今は観光化され、車でアーツという間に木曽路を通り抜けるので、かつての寂寥感は無い。南木曾駅から上松駅まで再び列車に乗り当日は「寝覚の床」を見物し、上松の旅館で一泊、翌朝木曽駒ヶ岳登った。「頂上木曽小屋」に一泊、下山コースは木曽福島方面えとり途中三合目辺りの駒の湯で汗を流し、サッパリとして帰ったことを懐かしく思い出した。当時二十才の私の手帖にこんな散文があった。
   駒湯にて !
男湯の中に、女の子が四・五人 はしゃいでいた。
黄色く濁った湯は、千年を思わせる、その色、また尊し。
外では鶏が、ク、ク、ク、と餌を啄んでいた。
ときおり、カッコーの声がする。
   〇 馬 籠 宿
 折角、来たのだから早々、一人藤村記念館を見学した。明治から昭和まで生きた藤村の時代、社会との苦闘からの珠玉の言葉を味わうことができた。「藤村のことば」の膨大なる資料から私は次の二句が興味をひいた。
 〇ユーモアの無い一日は寂しい。
 〇わが胸の底のこゝには言い難きひめごと住めり。
   〇 妻 籠 宿
 バスを下車すると"馬さし"有りの看板が目にとびこむ、蘇風亭なる、味わい処である。堀ご夫妻と入店、試食してみる、結構いけそうだ。其処に蒲生さんが来店したので注文すると、「本日はそれでお仕舞です」。どうも一日当りあまり作らないらしい、止むを得ず二人で一皿ずつ食す、残念ながら後を引く思いだった。その後、七月中旬開催の「暑中見舞はがき絵展」用にと「妻籠郵便局」をカメラに治める。古い旅館「松代屋」の一帯を短い時間であるがスケッチする。橋本弘子さん始め、四・五人の先陣が熱心に筆を走らせていた。
  〇 駒 ヶ 根。光 前 寺
 駒ヶ根市は私にとって懐かしい場所である。昭和五十二年から五十六年にかけて仕事の関係で実に六・七回も来ている。駒ヶ岳、ロープウエイの基地であり、標高2,612米の千畳敷まで登ることができる、今回は中止で残念だった。最大のスケッチポイントを失った。樹齢数百年の杉の巨木に囲まれた古刹光前寺は霊犬早太郎伝説と光苔で有名だ、二十二年振りで訪れたところ、すっかり様相が変わっていた。光苔を石垣の透間から覗くことができた。蛍の光を思わせる淡い灯も、今はロープが張られ見ることもできなかった、これも観光化で荒らされない為の予防柵でしょうか。光前寺の三重の塔を十数人でスケッチをしていたので仲間入りさせて頂いた。昔しと違って寺院内の規制も厳しい様子だった。早目に切りあげ蒲生さんとバス停前の土産屋さんのテーブルを借用して、お酒付きの弁当を開ける。ヤレヤレ。
  〇 後 記
 スケッチの方は五枚仕上げてマズマズでしょうか、観光地では静かに写生をすることは、むずかしい。今回のスケッチの旅は、大好きなお酒も飲めて、懐かしい昔日のことなど思い出させて頂き、本当に幸福な三日間でした。同行者に感謝申し上げます。  


 スケッチ     岩出 輝一

神温泉を流れる川


木曽路の緑に魅せられて
          大倉 実

 高遠・木曽路は新緑一ぱいであり、その多様な色合いに魅せられて三日間(五月十一日から十三日)のスケッチを楽しんだ。
 特に国道十九号線(旧中山道)筋は島崎藤村の書の書き出しとは違い明るく、かつての暗さはなかった。その道筋に点々と拓かれた集落は昔の貧しさを全く感じさせないものであった。桧の密林がいたるところにあり、鬱蒼とした道筋を予想していたが、集落は山吹き、桃、桜、芝桜で色どられ美しく一種桃源郷でもあった。時代の移りかわり、自然のうつろいを深く感じつゝ通り過ぎた。
 高遠にしても半日の滞在で、小雨の中のスケッチは忙しく、絵心、絵にならず。
 夜の高遠美術愛好家の皆様との交流は絵の批評、美術論、カラオケと和やかであり楽しい一刻であった。
 山深い小都会の中は綺麗すぎる施設、整備された道、田、圃場等が浮きあがって江戸の名残はない。しかし小彼岸桜の満開の季はその風情をかえ、静けさがさヾめく人波にわきたつものに変貌し元の街にかえるのではないか。木曽駒は雲にかくれ、千丈、北岳は霧雲におおわれて水田に写る農家の影が印象に残った。
 奈良井から妻籠宿までの中山道は天気のよさもありすこぶる明るい新緑の街道であった。しかし、一体、古い集落、宿場はどこへ消えたか。余りに綺麗に整備された宿場は、自然環境保護と生活のためという観光と商業中心となり興味は半減した。たヾ街はずれ、街、宿場の一角はそれらしい風情をのこすのみ。この変化は今日ではいたし方なしか。目につくのは遠い山波を奥深く続く自然のみである。
 いつも思うことだがスケッチ会は観光は混じえず、こゝぞという地を選び、二〜三泊で集中的に描く機会が欲しい。ツアー形式はどうしても時間と場所の選定の斗いとなる。速写の達人にはよいがどうしても絵が小振りになり忙しい。これは自分自身の対応にもよるが課題として残る点である。
 今回のスケッチ会は私にとって「緑」との斗い研究にあった。この日本の風景の基礎は緑の多様性にあると思っており、よい勉強にはなった。いろいろと意見はあるが新宿の街を描く会のよさは多才な人ゞと一緒に楽しく絵がかけるところにある。今后もこの様な機会が続くことを望んでいる。
 今回の三日間でのスケッチは六点であった。もっと沢山スケッチしたいと更なる精進を考えていた。参加された諸氏に今后の健斗を願いつ つご協力に感謝申し上げるものです。
             了


  木曽の山々 
           大島 芳材
 
今回の旅は、高遠を起点としてまず塩尻に行き、そこから中山道に入り、奈良井宿にてスケッチ、それから寝覚ノ床に来て昼食、そして馬籠と妻籠の宿場でスケッチをしあと山越えをして昼神温泉に来て宿泊。翌日は天竜川を北上して飯田を通り、そこから更に上って駒ヶ根に至着、ここではゆっくり時間をとってスケッチや散策したあと新宿に向かうというコースだった。バスの窓から右も左も山また山の連続だが、それもそのはず、中央アルプス(木曽山脈)の山裾を、ぐるりと一周するというコースだったからである。しかし丁度新緑が始まったところで、山全体が映えて美しかった。中央アルプスの雄姿は、少し離れないと望めないと思ったが、駒ヶ根高原からやや霞んでいたとはいえ見ることが出来た。駒ヶ岳、空木岳、南駒ヶ岳と並ぶ山容は未だ雪を多く残していて、人を寄せつけないような厳しさで聳えていた。高遠の静かな湖、街道に連らなる昔の宿場の軒、そして木曽の山々が見せるそれぞれの絵姿は、絵になる材料であり、旅の思い出に心に残る風景だった。









 高遠・木曽路スケッチ旅行の感想
                 大庭 幸雄

 高遠は桜の時期も終わり、その時期の混雑が嘘のような、観光客もほとんどいない静かな城址公園の中を散策できました。新緑の緑が実に豊富で、すばらしいのですが、なかなかスケッチではこの素晴らしさが描けませんでした。
 高遠では天気に恵まれませんでしたが、翌朝、少しの間でしたが、雲の切れ間から雪の残る仙丈岳も眺められ、山の好きな私としてはそれだけでも満足できました。
 宿場の町並みとしては、奈良井宿の雰囲気が一番気に入り、往きは宿場の通り、帰りは川の畔を一回りのんびり歩きスケッチは出来ませんでした、高遠も昼神も泊まるのは初めてであり、どちらの温泉も肌のすべすべする素晴らしい温泉でした。最終日、光前寺の裏を回り、大沼に着いた時には雲で遠くの山はほとんど眺められなかったが、昼食を食べている間にだんだん雲が切れてきて雪の中央アルプスが見えてきた。もう少しはっきり見えなかったのが少し残念でした。






駒ヶ根高原大沼からの中央アルプス


奈良井・馬籠・妻籠宿にて
           蒲生 利成

今日は待望の宿場町のスケッチである。気になった天気もどうやら良くなるらしい。高遠より奈良井宿に向かう、バスを降り、集合時間を聞き、一勢に町の通りに出る。土地の人に聞くと、奥に景色のよい処があると言う。この宿場町は可成りの距離がある。先へ先へと屋並みを追う、彼方に山々が見え始めた。ここもいヽ景色、仲間の人達が既に腰をおろし、スケッチを始めていた。旧い宿場に遇い少し先の軒を借り、早速スケッチ、さらっと描く、先へ、また途中で一枚、坐る暇なく、都合三枚描き、帰りは主だった宿場の造りを見て戻る。丁度時間となってしまった。
 次に向かった処は馬籠宿である。此処は、山の斜面を切り開いた宿場町で急な坂道が多い角々を曲がり、坂道を登ると五月の陽に輝いた白い「うだつ」の壁が青空に映えている景色が目に焼きついた。日陰の軒下を借り、軒を並べた宿場に吸い込まれように描き始めた。
 更に坂を登り、スケッチを重ねた。振り返ると、南側に坂下の町並みを通して山々が新緑を堪え眺望がよかった。好天に恵まれ、人出結構多い、坂の石畳は陽に映えて白く旧い宿場の屋並は昔日の光を放っていた。

 さて、次は妻籠宿、こヽも山間の街道沿い宿場町である。屋並みを通して山々が迫まる一軒の茶店に入り、ひと休みする、内部も昔のまヽのようだ、わずかに椅子・食卓が並ぶ、昔時を偲び、茶を啜る。通りに出て、暫くゆくと、右手に妻籠郵便局の看板が目に止まる。古いまヽの看板と狭い入り口、普通の民家のようである、こヽも絵になる処だ、何人かが描いていた、更に先によい処があるというので、歩を進めた、成程、格好な場所に遇う、もう大分陽も傾き、時間も迫った、大急ぎで筆を進め、山間に埋もれた宿場町を描く。こヽも山懐に屋並みを並べ樹々に埋もれた宿場町だった。夕暮れ時に遇い一抹の寂しさを感じた。 03. 5 記



 高遠スケッチ旅行 
金原 晃

 病後初の団体旅行だ。バスは新宿郵便局前を出発し、中央高速を走った。南アルプス岳は霧で見えなかったが、両側の林は明るい緑に輝いていた。
高遠へ着き、昼食後、城の方へスケッチに行く。小雨が降っていたので、木の下から城門を描いた。黒い樹が薄緑の葉を通して見え、石垣は明るく見えた、閉まっている店の下から寺と旅館の薄茶と赤い屋根を描いた。まだ桜の花が残っている林の間から城の上2階が見え、春の旅を感じた。夜食は高遠の絵画会の方々とご一緒し、土地の美しさを語り合った。
2日目は、天竜川を渡り、木曽へ行く。伊那、奈良井宿を経て、寝覚の床へ行き、更に中山道を進んだ。寝覚の床では上から木曽川の岩流を描いた。

3日目は飯田を通り、駒ヶ根へ行き、少し登って、大沼湖へ行き、湖と森、山を、下る途中では古い建物を描いた。
この旅で明るい緑と残雪の山、古い民家の美しさを満喫した。











 奈良井宿をスケッチして
          小林 誠

しもた屋風の屋の軒下を拝借して、スケッチにかかろうとすると、岩燕であろうか?突然の侵入者にフンガイして新調のシャツにフンをかけられる。これも江戸情緒の残る宿場町ならでは、の風景の一コマ。想えば木曽路を旅したのは、三十何年も昔のこと。今こうして在りし日を想い、奈良井宿の街並をスケッチできるのは素晴らしい。家並の入り組んだ面白さ、茶系に統一された懐かしの色調、目にも鮮やかな新緑の青葉が絶妙なコントラスト。モチーフの条件は揃ってはいるものの、デッサン力
の無さだろうか、なかなか確かな構図に定着できない。
また人物を入れるかどうかは、風景画を描く時の悩みでもある。結局スケッチに薄く着色している途中で時間切れ。至福の時の余韻を引きずりながら、次の写生地へ。

 最後に、高遠の皆さん、お仲間の皆さん「楽しいスケッチの旅」をありがとう









  「新宿の街を描く会」に感謝
          後藤 紀彦 

「老後の生き方」のひとつに趣味の存在がいかに大きなインパクトを与えるか?
退職後の私的な時間の使い方、仕事を外した人との出会いと交き合い方、地域社会との係わり方等等
趣味があればこそ、これらの課題解決が出来るそうです。また趣味は左脳を使うことからボケにも役立つとも言われ、老後は誰にとても必要不可欠なもの、より有効に活用したいものである。論より実行とにかくスタートしました。
3年前より「新宿の街を描く会」の例会を通じて多くの方と出会いそして仲間の作品を観る機会が増えるなど私の絵画活動に新しい変化が加わりつつあります。
職域以外の方とのコミニケーションは大変魅力があります。また作品の制作頻度が必然的に増え、多忙ながら気持ちよい緊張感が漲ってきました。
そして、諸々の会合を通して、幹事さんの運営上のノウハウを習得する機会があり、他サークルの世話役として期待される方向へ自分自身が少しずつ近付いてることに、大きな喜びを覚えております。
現在の自分はお世話を受けるばかりですが、行く末は当会にお役に立てる立場に夢を膨らませ、諸先輩のノウハウを充電中です。どうぞよろしくお願いいたします。





高遠、木曽路スケッチ旅行
        後藤 ハツミ

新宿を出発、今日から三日間スケッチの旅です。
高遠はホテルで昼食後、ホテル周辺、城跡・・・等を各自場所をさがしてのスケッチです。あいにくの天気で、途中雨が降り出しても、皆熱心に描いていました。夜は高遠の美術クラブの人達、美術館館長も出席しての交流会、テーブルに並べての作品展示です。お互い批評したり、館長のアドバイスを聞いたりと、多いに参考になりました。
木曽路でのスケッチは、古い家並みがステキですが、絵にすると、構図を決めるのが大変でした。
皆、早く、何枚も描いているのに、私は一枚をモタモタして、色も入れられず、あせりました。
早く描く事、又、みなさんのすごいパワーに圧倒され、初めての参加でしたが、多いに勉強になり、楽しいスケッチ旅行になりました。
H 15. 5 

















 高遠・木曽路を旅して
坂元 元昭

 初日の高遠は雨との闘い。城址の空濠に下りて傘をさしながらのスケッチ。赤い橋が楓の新緑に映えて美しい。雨にたたかれ絵面の絵の具は乾かず流れ出す。窪地は泥沼に変わり椅子が沈む。悪戦苦闘、荒々しいなぐり描きで何とか切り抜ける。後で乾いてみたら、何とも予期しない不思議な効果。これぞ雨ガカリの神の仕業かと我ながら開眼した次第。
 二日目 早朝に起きて附近を散策。雨上がりの新緑の山々が映え、遠くに残雪が輝く仙丈岳も顔をのぞかせ、
しだれ桜の巨木とも出会うことができた。また春に来たいところ。
 奈良井宿は家並が続いて面白い。相変わらずの忙しい旅がはじまる。早描きの得意な人ならいヽ。不器用な者にはあせるばかりでとてもついて行けない。もどかしく、楽しいはずのスケッチが苦痛に変わる。こんな時はカメラが出番。然しくるまがじゃまになったり、両刀使いもまヽならず。あわただしい。
 寝ざめの床も横目に見ただけで近づけず。
 期待の馬籠宿は一気の登り坂。きれいな石畳に変わり、風情がなくなった。藤村人気か大勢の人達が右往左往、どうも気が乗らない。藤村記念館の入口をスケッチ。
 妻籠宿は静かな落着いた街。折しも街灯がともりだし情緒満点。描きをあきらめて散策。バスのガイドさんがすヽめてくれた「栗きんとん」を探すのが精一杯。新ためてじっくりと描いてみたいところ。
三日目 駒ヶ根では光前寺の三重塔を描くつもりでいたが、到着直前にバスの窓越しに目に入ったのが竹村家住宅(茅葺き民家/重文)。早速引き返して描く。隣接の洋館木造建(元駒ヶ根市役所)もいヽが時間がない。駐車場に戻ると近くから残雪をいたヾく千畳敷と宝剣岳の勇姿が見えていて、あヽ残念。また来いよとウインクしているようだった。
何とも忙しくて愉快な名残り多い旅でした。お世話いたヾいた方々に感謝。

駒ヶ根 竹村家住宅(重文)


 高遠・木曽路スケッチ旅行
          末吉 正克

「木曽路へ、大自然に包まれるか歴史に包まれるか」バス会社のキャッチコピーである。
願っていた旅の機会が訪れた。諏訪から杖突街道に入ると、のどかな風景が続く。昼食後、高遠城址に登る。あいにくの小雨で傘をさしてのスケッチは始めてのことだ。
翌日の木曽路はさすがに険しい。スケッチをしていると奈良井宿では地元の人、馬籠宿では行楽の人が語りかけて来て楽しい。陽の傾きかけた頃妻籠宿に着き、戸締まりを始めた家々を描く。いずれの宿場も昔の風情を宿し往時を偲ばせる。
三日目光前寺は三重塔を描く。塔前にある伝説の霊犬早太郎の像が面白い。
同行のガイドさんはすばらしい人だった。地名の由来、歴史、伝説などを巧みに語りひと時も飽かせない。おかげで「大自然と歴史に包まれた」三日間を満喫することができた。
お世話になった皆様に心から御礼を申し上げます。

   高遠城址の問屋門と桜雲橋 

















 新宿の街を描く会
杉本 和雄

 高遠 木曽路の旅は長野と言うより信州が相応しい、年の所為でしょうか、残雪の北アルプスの山々を眺める田園風景は旅の実感をさせてくれます。
高遠城址は幾多の歴史をもった名所旧蹟で昔が忍ばれます。スケッチ旅行は、前回の中国旅行に次いで今回が2回目です。下手なスケッチですが自分なりに画く楽しさ分かるようになってきました。             
木曽路の新緑の織り成す自然の素晴らしさ、一つ緑といっても複雑な味が伝わってきます。中山道木曽路の奈良井宿、馬籠宿、妻籠宿、の宿場町はその昔手っ甲、脚絆の旅人の行き交う様子が忍ばれ信州の遺産です。

高遠城址公園
昼神温泉でのカラオケはスケッチには画けない声の世界自然派、遠慮派、我あるのみ派、夜神に憑かれてゆっくり休みました。
次回を楽しみに新宿のビルの街に戻りました。
一句 『 新緑の煙る木曽路の奈良井宿 』   15. 6. 30











高遠を訪ねて
高橋 妙子

雨の高遠城跡、街並みを見ながら、南アルプスは雪の頂きしか見えなかったのが残念でした。

奈良井宿から馬籠に入った。昔ながらの古びた家並みはとても興味があり素晴らしかった。特に光前寺庭園は印象深いものでした。
写生となるとどうしたらこの家並みが表現出来ず、私なりに書いて見ました。
















高遠スケッチ旅行に初参加して
田中 清美 

今回大勢のメンバーの方々とお目にかかれゆっくり会話も楽しめるよいチャンスと思い参加致しました。絵の方はまだ未熟なため作品はとても情けない有様、気ばかりせいて周りをみてはため息ばかりでした。でも夕食時からは、高遠の美術クラブの方々と同席し心こもる歓迎の余興、又当方の練習の成果も充分に発揮され拍手も一段とにぎやかに盛り上がり楽しい交流会となりました。

奈良井宿、馬籠も本で見て一度は行ってみたいと思っていましたので体験出来てなによりです。作品展の事を考えますと、身が縮む思いですが、帰路のバスの中での暖かなアドバイスも頂けたり少しでも身につけばと思っています。途中抜け出し駒ヶ根美術館へ小時間でしたが立寄り立派な作品も鑑賞出来充実した三日間の旅となりました。本当にお世話になり有難う御座居ました。










 楽しかった写生の旅
         塚平 ヒトシ

「新宿を描く会」に入れていただきまして始めての参加でありました。良い絵を描いてかへりたい一心でした。最近は意外に早く視力の衰えを感じておりまして、何時まで描けるかと心細い思いをしておりますこの頃。
緑一色の高遠へ、芽吹きの緑の淡あわとして車窓に広がりゆく風景は、私達の目を楽ませてくれました。そして、その昔を偲ばせての、たたずまいの残る木曽路を訪れましての云い表はし難い程の感慨、メガネがこわれるハプニングにあい乍ら、それなりに三枚の絵を描いて帰りました。
伊那のひるがみの湯につかり、ほっと心の和むものもありました。旅馴れないものが、お世話様になりまして、ありがとうございました。此処にふかく感謝の気持ちを申し上げます。

「高遠・木曽路スケッチ三日間を旅して」      中田 治美

年賀状展、御苑展、暑中見舞い展、そして「北京、蘇州、杭州、上海の旅」を通して仲良くなった新宿の街を描く会の友人達四十名と新緑の美しい信濃路を旅して日本の美しさに魅せられた三日間でした。
初日の夜の高遠の美術愛好家グループとの宴も楽しい一夜でしたし、昼神の宿での素人のど自慢も終るのも寂しい程の盛り上がりでした。全行程とは参りませんでしたが日本アルプスの山々に送られて帰路についたのも忘れ得ぬ思い出となりました。相変わらず旅の想い出を腰折数句にまとめましたのでご披露申し上げます。

「高遠の 城静まりて 春深し」

「一筋の 土産屋続く 奈良井宿」

「信濃路に 春更け行きて 下伊那の湯気立ち登る 昼神の里」

「春更けて 馬籠寂しき 人の声」

「緑深く 三重の塔立つや 光前寺」

平成十五年五月十一日〜十三日
「新宿の街を描く会」の仲間と旅をして


高遠・木曽路・スケッチ旅行感想
新谷 吉参

今回の高遠への旅は会として二度目との事である。何故か今迄これまでの国内旅行は都合がつかず、今回が入会以来初めての参加となった。高遠は以前桜のシーズンにツアーに参加しての花見旅行がつぼみの桜を眺めての旅になってしまった事が思い出される。
城郭については前々より興味を持っており(日本城郭協会々員)戦国時代武田信玄によって築かれた高遠城は現在はほとんど建築物は失われているが、土塁石垣空堀等山本勘助が行った縄張りは比較的保存状態が良好な山城である。
いざスケッチという時に小雨が降りはじめ、地元新聞のインタビュー受けている頃から雨がかなり強くなり、未熟者には仲々思う様に描けず、城門附近をスケッチして早々に引き上げざるを得なかった。ホテルの戻り十年前に引かれたという温泉につかりながら地元の方からいろいろ土地の歴史等を伺う事が出来た事は幸いであった。
夜の宴会は地元の美術家団体の会長をはじめ大勢の方々との絵の展示等の交流とニッパツ太鼓の勇壮な演奏は大変感慨深いものであった。
二日目の木曽路宿場めぐりは初めての経験で大変楽しみにしていた所である。
奈良井宿は約1km 中山道沿いの町並みが復元保存されており、スケッチに取り掛ったが何処からどう捕えたら良いか迷っている内にスケッチのみでオーバータイムになってしまい着色に至らず、更に腰痛が出てしまった為馬籠は座って描く事が出来ず、とある喫茶店で名物の栗きんとんとおうすでお茶をにごす事にした。当地は他の宿場に比べ駐車設備が完備しており、観光客の多さも他を圧していた。そのせいか建物、町並みも他の宿場とはその趣がやヽ俗化している様に思えた。
妻籠は三ヶ所の中で一番時代を感じる雰囲気のある町並造りが出来ており、露路や家の中からマゲ姿の人々が現われても、その中に溶け込む様な錯覚を起す味合のある風情であった。もっとその中にひたりたい気分であった。
帰途大倉氏に誘われて地元名物の手打ちそばは、そば好きの私には思い出の味になった。

観光後の昼神温泉は聞きしに優る名湯で昼間の腰痛も入浴後はすっかり完治したが、更に堀夫人のトクホンの差し入れにより又元気をとり戻す事が出来た。感謝、感謝。
最終三日目の駒ヶ根高原の光前寺は深山幽谷のたヽずまいの中、三重の塔を蚊になやまされながら頑張って描いた。二泊三日の今回の旅は例会のスケッチとは全く異なったスケールと趣深い情景のまれ、いわば上級クラスの場であり、大変勉強になった事は云うまでもなく、同好の諸士との交流も合わせて楽しい思い出深い旅であった。  






橋本 弘子

新宿の街を描く会の皆さんとの、二度目の高遠はやっぱり素適な所でした。相憎と南アルプス中央アルプスも姿が見えませんでしたが、大体の想像は出来、その場に居られる喜こびを感じました。スケッチを始めると、ポツポツ雨が降って来て終いうらめしい。皆と励まし合い傘を差し乍らのスケッチにでした。圧巻は、ホテルに着いて直ぐに、窓際に四人並んで座り一斉にスケッチを始めた事です。心に残る良い思い出です。夜の懇親会は、それは素晴らしくて本当に楽しいものでした。
私事ですが、長野は主人の仕事の関係で、あちらこちらと訪れる機会が多く、長い間親ませて頂き、思い出が一杯つまっている所です。懐かしくて本当に感慨無量でした。絵の方も楽しく描く事が出来ましたが、時には時間に追われ後髪を引かれる思いも致しました。お友達と、又来ようね・・と

皆様大変お世話様になりました。心より御礼申し上げます。又、ご一緒させて下さい。
 







 原田 静子

待ちに待ったお友達と一緒のスケッチ旅行が無事に終え、元気で参加出来たのが何よりです。初日は進徳館を描いている時に雨が降り、少し寒くなり私だけバスに戻る。バスの中で雨にぬれた風景を思い出しながら着彩をした。その後は車掌さんと『寅さんの映画』を観てたのしんだ。運転手さんは雨降りを利用し、モップで長い間時間をかけて洗車をされた。お友達はバスに戻ることなく頑張ってスケッチをされ直接ホテルに戻られた。皆さんの熱心な姿に少しでも学ばなくてはと反省をした。

進徳館
初めて訪れた高遠、木曽路の旅は山々が若葉に包まれ、沢山の種類の木に恵まれ、すがすがしい空気に身も心もすっかり若がえっていた。夜は高遠の美術会員の方々より、厚いおもてなしを頂き、思い出に残る最高のパーティーで、感謝の気持ちで一杯です。夜はお部屋の方々とたのしいお喋りをし、夜が更けるのが早く、急いで床につく。朝起きると又お友達と着彩をした。















高遠・木曽路スケッチ旅行
    藤森 通弘

私は新宿の街を描く会の二泊三日のスケッチ旅行に始めて参加しました。一緒の部屋に泊まった、蒲生さん稲川さん石田さん吉田さん皆さん性格は異なるが、人生経験豊富な方々で絵についての考え方を話したら、夜通し話はつきず大変勉強になりました。高遠については、高遠の美術愛好家の方々の言葉につきぬ歓迎を受け、これも佐野会長の人徳の賜と感謝感激です。

奈良井宿にて
スケッチ旅行の中で、高遠も良かったですが特に心に残ったのは、二日目の木曽路の町並みで奈良井宿、馬籠、妻籠の集落でした。特に妻籠は着いたのが夕方でスケッチする時間が取れず残念でしたが、馬籠のように旅行客の混雑がなく、ゆっくり街並みを見学する事が出来ました。妻籠の素晴しさは、一軒一軒の建物の価値はさ程ではないのですが、集落全体を群として捉えた時、よくこれ程徹底して保存を計ったものだと感激しました。









高遠のこと
      堀 妙子(堀 秀吉)

過疎化が進む高遠も、新緑萌える自然は益々美しい。枝垂桜の立つ町と山並みが一望できる現場へ・・・制作中の現地会員の方々と歓談し、8才若かった昔を思い返し感無量。その後雨のためスケッチ現場を体育館前にする。
体育館前広場で少年が二人スケボーをしていた。「ここでスケッチしても平気かしら」と私、「全然平気ッス!大丈夫ッス!」と少年。若者はやはり都会と同じと思いつつスケッチを始めた。
 
後で人気の無い広い体育館の中を覗きこんだ二人の少年「テニスしてーな、お前400円持ってる?家に帰ってカーチャンにテニスしてもいいか訊いてみっか!」・・・と、寄り添って小雨の中、肩を並べ帰って行った。
自然と暮す町の生活が少年達の会話に窺えた。気付くと傍の手摺りに少年のジャンパーの忘れ物、感謝を込めて上着を丁寧にたたみ直し手摺りに掛けてスケッチを終りにした。

蛇足  人の和を描く会に乾杯
: 堀 秀吉
 
















 高遠、木曽路スケッチ旅行
前田 照子

 あの馬籠の宿場街をスケッチするチャンスを逃がしてはならないと期待に胸ふくらませ、参加致しました。
 高遠は予報通りの雨模様でしたが、新緑が鮮やかで、傘をさしてのスケッチでしたが、高遠史蹟「進徳館」の山門とその背景の新緑を彩色することができました。
 バスは待っていたが、ホテルまでは歩いて帰ろうと高遠城跡を抜けると、湖のむこうにさくらホテルや家並が小さく見えてその背景の山なみが何とも美しかった。後藤さんと早速描き始めたが、その感動が表現できぬうちに雨足が強くなってきて中途半端でスケッチできなくて残念でした。
 ホテルの部屋からの風景も素敵で、夕食までの少しの時間でもと、同室の四人でスケッチを始めました。折角絵を描きにきたのだから少しの時間でもく描いていたい気持は皆持っているのですが、何といっても橋本さんのパワーに影響されているようです。
「新宿の街を描く会」の旅行は、絵を通じて友好都市との交流が目的の一つだと会長さんに伺っていました。
 高遠美術会の方々の作品と、今日描いた私達の絵を並べての交流会も盛大で、良き親善をしていることを実感致しました。

 木曽路の奈良井宿の出梁造、千本格子、猿頭など風格ある建物が並ぶ町並は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているそうです。スケッチは時間がかヽりました。
 馬籠では急坂の途中にある"馬籠茶屋"を描きましたが、二時間はあっという間にたち、絵は中途半端です。
 妻篭は夕方で、静かなたヽずまいで、つばめの巣など見て、ゆっくり散策したのみでした。
 三日目は光前寺の参道を描きました。遠近感を表現できたかしら、仕上げは帰ってからの楽しみにしようということです。


 水車のある馬籠郵便局
町田 博次

二度目の高遠スケッチ旅行は、前回と比べて感慨一入だった。地元アーティスト達の熱のこもった歓迎振り、一点ずつ評価してくれた美術館長の真摯な態度、何れも心の温もりを感じさせてくれた。嬉しい限りである。
雨の中の高遠湖の風景も私の六月の『我楽苦多個展』に加えることが出来た。
今回特に企画いただいた「木曽路めぐり」のスケッチも最近の私の体調を引き締めてくれる緊張感があり、想い出に深く残ったようだ!
なかでも旧中仙道の急な石畳坂の傍らに発見した「水車のある馬籠郵便局」は面白かった。奈良井宿や妻篭の宿場の街並みも「四国のスケッチ旅行」の時より私には魅力的だった。
さらに嬉しかったのは駒ヶ根の大沼で、美味しいお弁当を食べながらスケッチした時、急に雨雲が晴れ出し「雪をかぶった木曽駒」が姿を現してくれて、有終の美を飾ってくれた。幸運なスケッチ旅行であったと、心から感謝している。















堀 洋一郎

高遠さくらホテルのランチョンマットに描かれた高遠の四季のスケッチと町の美術愛好会の皆さんの温かいもてなしから始まった「新宿の街を描く会」のスケッチ旅行。初めて参加するスケッチ旅行でしたが5月の信州・伊那の自然を満喫しました。描いたスケッチは高遠さくらホテル前から描いた高遠の民家の家並、枝垂れ桜のそばから見渡す高遠の里、小雨に煙る高遠城址公園、立ち寄ったドライブインから見下ろす「目覚の床」、日本一の宿場街「奈良井宿」のみやげ家、ポストが黒い「妻籠宿」の郵便局、坂道に古い木造建屋が立ち並ぶ「馬籠宿」、駒ヶ根高原の名刹「光前寺」の参道、いずれもスケッチとともに旅の思い出が残りました。
ホームページ「きままな淡彩スケッチギャラリー」 


スケッチ「目覚めの床」



















5月12日(月)午前 奈良井宿
               林 弘美

高遠・木曽路スケッチ旅行2日目。
1日目の高遠ではあいにくの雨になってしまったが、幸い今日は晴れ。
シーズンオフなのか観光客もまばら。
天気もよく、スケッチ日和。
問題は腕前だけ………。


            奈良井宿


学童集団疎開の頃を思い出しながら
           佐野 直文

芝居の書割のような街並み風景からちょっとはずれた場所でのスケッチ。
      木曽路のローカル駅